育て方情報:鉢に植える場合
鉢植えにする場合は、露地植えよりも早く実がなり始めます。
また、鉢植えの利点は、好みの場所に移動出来るということです。
寒い地方でも冬場に室内やハウスに取り入れることができるため、寒冷地でもミカンやレモンなどが育てられます。
どんな鉢に植えたら植えたらいいの?
いろいろな素材でできた鉢が出回っています。それぞれの素材に一長一短がありますので、果樹の性質によっても向き不向きがあります。
種類 | 通気性 | 排水性 | 保温性 | |
素焼き鉢 |
◎ | ○ | ○ | |
プラスチック鉢 |
× | × | ○ | |
ポリエチレンのビニール製 |
× | × | △ | 育苗用 |
木製 |
◎ | ○ | ◎ | |
コンテナボックス |
◎ | ◎ | ○ | |
発泡スチロール |
× | × | ◎ | 小さな種まき用には向いている |
素焼き鉢
通気性がよく、根によく酸素が供給されるのでよいのだが、鉢から水が蒸散しやすいので、
水をよくほしがる果樹(柿・梨・いちじく・リンゴ・ブルーベリー)などにはあまり適さないと思います。
また、壊れやすいので、不安定な場所、小さな子どもさんがおられる家庭には向かないかも。
プラスチック鉢・プランター
通気性と排水性がよくありません。安くて軽いのですが、鉢からの蒸散も少ないので、マメに水やりができない方には向いているかもしれません。
反対に毎日水をやらないと心配といって水やりが日課になっている方には、過湿になってしまうことが起こりえます。
これを解決するには、9号程度(直径27cmくらい)の鉢の側面の高さ半分より下に排水のための穴をあらかじめいくつかあけておくことです。
そういますと酸素も行きやすくなり、排水も水はけもよくなります。
過湿を嫌う、桃・枇杷・葡萄・柑橘類には適しません。また、ある程度年月がたつと疲労して壊れやすくなります。
木製の鉢
通気性・排水性もよく果樹栽培には向いています。
また、日光が当たっても木なので土の温度が上がりにくくよい。
また、大きめの鉢に植えれば、植え替えも4から5年程度根を張るまではそのままでよいので便利です。
コンテナボックス
これも、大きめのボックスを廃材などで自作するなどすると果樹栽培には向いている。
どのくらいの大きさの鉢に植えたらいいの?
鉢の大きさは、木の大きさに合わせて用意します。
新苗と呼ばれる接ぎ木をして一年目の棒の様な苗の場合は、初めは直径21cm〜24cm程度の鉢に植えればよいでしょう。
3年くらいすると鉢の中で根がいっぱいになるので、もうひとまわりかふたまわり大きめの鉢に植え替えます。
植え替えるのがおっくうという方、場所に余裕のある方は、初めから大きめの鉢に植えて頂いても大丈夫です。
果樹も含めて木は、根の量が多くなると、その分木も大きくなります。
木を大きくしたければ大きな鉢に。木を大きくしたくなければ小さな鉢を使用します。
盆栽の例でわかるのではないでしょうか。
しかし、木が小さければ果実の収穫も少なくなりますし、木を大きくすれば果実の収穫量も多くなります。
鉢の植え替え 時期とやり方
鉢植えの場合、鉢の中に根がまわってきますと、吸える養分が吸えなくなり根詰まりという現象が起こります。
そうしますと樹勢が衰えてしまって木全体が元気がなくなります。
根が詰まってきたら(鉢底から根が出てくるのでよくわかります)鉢をひとまわり大きいものに変えるか、
木をそれ以上大きくしたくなければ、一度鉢から抜いて、根をほぐして整理し新しい土を入れて同じ鉢に戻します。
時期は落葉樹ですと葉が落ちている晩秋から早春のあいだ。
常緑樹も同じ時期ですが極寒期は避けましょう。
どんな土を用意すればいいの?
鉢植え栽培では、鉢に入れる土によって生育がかなり左右されます。
土にはいろいろな性質があります。
・排水性
・保水性
・保肥性
・通気性
これらの性質を併せ持っている条件の土を準備する必要があります。
また、鉢の選び方でも伝えましたが、土の配合も果樹の性質によって微妙に調節ができればそれに越したことはありません。
売っている土を使う場合
今は、「果樹用の土」とか培養土とかいうのが売られています。
これを単独で使っても良いのですが、これに、腐葉土を3割〜5割混ぜれば良いと思います。
また少々砂を混ぜますと柿などはよい結果が得られるように思います。
ブルーベリーは、ピートモスに2割ほどの鹿沼土のみの使用をします。
家の庭の土を使う場合
庭土にも腐葉土を半分ぐらい混ぜれば良いと思います。
庭土に砂が多く排水性がよい(握っても固まらない土)ようなら、黒土を混ぜます。
黒土っぽい庭土で粘性があれば(団子のように固まってしまう土)砂を混ぜるというようなところでしょうか。
一度鉢植えに使っていた古い土を使う場合
この場合は、熱湯をかけたり、直射日光にさらしたり、冬場寒風にさらしたりして、病虫害を取り除きます。
その後、半分ぐらい新しい土を入れてやると良いと思います。
果樹による土の違い
過湿に弱い果樹→砂の割合を多めにして排水をよくする
モモ・ビワ・スモモ
水分を好み過湿にも強い果樹→粒子の細かい黒土や田の土などの配合を増やす
柿・いちじく・アンズ
どんな場所に置けばいいの?
やはり基本は日当たりが良く、風通しがよいところとなります。
日当たり
日当たりといっても夕方の西日のみ当たるというのは良くないのです。
植物の光合成は、午前中から午後2時頃です。
この時間に日光が当たることが植物の生長には重要となります。西日はできたら避けたいのです。
西日が当たる方向に寒冷紗や日よけをするなどの工夫をしてみましょう。
また、日光が一方向からのみしか当たらないという場合は、鉢の向きを一週間から二週間くらいの間隔で向きをまわしてやりましょう。
一方だけの枝が伸びることが防げます。これは鉢植えの良さでもあります。
風通し
風通しがよくないと病気にかかりやすくなります。といっても強い風があたっても果樹にはよくないのです。
果樹園に行かれたことがないでしょうか。果樹園のまわりは、青色の網でおおわれていることが多いのです。
これは鳥よけもありますが、強風から果樹を守っているのです。
また、みかん畑のまわりに垣根があるのを見たことがありませんか。これは風よけです。
強い風が果樹に当たると葉や実が傷ついてそこから病気が発生したりします。
強い風が当たる場合は寒冷紗や防風ネット、また可能な場合は垣根などをしてみましょう。
鉢の置き方
鉢を直接地面やコンクリートに置くとよくありません。
地面の温度がじかに伝わってしまったり、鉢から根が伸びて地面にまで根を伸ばしてしまったりということがあります。
鉢を置く場合は、鉢の下に煉瓦やブロックなどを置いて空間を空けましょう。
またそのときには、遣った水が鉢底からきちんと流れ出るように、鉢底の穴は防がないように注意して下さい。
ベランダなどの場合で、地面のコンクリートを汚したくない場合、受け皿を鉢に置くことがありますが、
その受け皿に水が常時たまっているのは根腐れのもととなります。
受け皿の水はマメに捨てるようにしましょう。